どうして彼女じゃダメだったんだろう

どうして俺じゃダメだったんだろう


でも二人を見てわかってしまった

運命というものは存在するのだ






Poetry of the help and past poetry
--- one ---

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「・・・ご無事でしたか。」


怪我をしている様子もない桔梗の姿に、ラティスとフリードライツは安心
したように溜息をついた。


「心配かけてごめんなさい。ジャスティが助けてくれたおかげで大丈夫だっ
 たわ。・・・それより、フリージアの容態はどう?」



命に別状はないと聞いているが、心配で仕方ない。


もし、あの時フリージア1人だったなら、きっと無事に逃げ切れたのだろう。
しかし自分がいたせいで、フリージアは時間稼ぎの為に戦わなくてはならな
くなった。


それに、途中でさらわれる事なく、ジャスティ達のもとに行けたのならフリ
ージアを助けることも出来たはずだ。

そう考えると、今こうしてみんなに守られて怪我一つしていない自分が情け
なくも申し訳ない気持ちで一杯になる。





「今は、薬が効いて眠っています。怪我はそれほど酷くないのですが、少し
血を流しすぎたせいで起きれるようになるまで少し時間がかかるかもしれま
せん。」


ラティスはいつもの無表情とは違う、どこか影があるような表情で言った。




「・・・なにか、私に出来る事ないかな?」

「キョーのせいじゃないさ。女二人だけにしてしまった俺達の責任もある。」


フリードライツは気にするなという様に言うと、同意するようにラティスも
頷いた。



「フリージアが気になるなら明日見舞いに行ってやってくれ。キキョーの無
事な姿をみたらフリージアもきっと安心する。」


ジャスティはそう言うと、促すように部屋へ歩かせる。


ここは素直に従った方がいいのだろう、ジャスティ達だって、きっと疲れて
いるのだから。

これ以上迷惑をかけたくない。


そう思って歩き出そうとすると、背中を押していたジャスティの手が急に力
を抜き下に落ちた。




「「ジャスティ?!」」




フリードライツとラティスが同時に叫ぶ声がした。
倒れかかった体はフリードライツによって支えられている。




「ジャスティ?!どうしたの?!」

顔を覗き込むと、汗をかいて苦しそうに息を上げている。

「・・・大丈夫だ。」

ジャスティは自力で立とうとするが、フリードライツは手の力を緩めない。

「やっぱり!力の使いすぎだ・・・熱が出てきている。だから今日あの
”技”を使うのは無茶だと言っただろ!」

「大丈夫だって言ってるだろ。・・・手放せよ。」

「でも、酷い顔色だよ。早くは休んだほうが・・・。」

「大丈夫だ。それに父さんに報告を・・・。」



ふらつきながらも立ち上がり、歩き出そうとするジャスティをラティスが止
めた。

「これ以上無理はさせられません。お願いですから休んで下さい。」




それでも、納得しないジャスティに、ラティスの口調もだんだん厳しくなる。


「後のことは、配しないで寝ててください。何の為に俺が補佐にいると思っ
てるんですか。」


怒鳴るわけではないけれど、諭す様にけれども反論を許さない口調。


ラティスが自分のことを”俺”と言うのも初めて聞いた。
いつもの無表情だけれども、物静かで礼儀正しい・・・育ちのよさそうな
ラティスとは違う。


驚いているのは桔梗だけで、フリードライツは同意するように頷いており、
ジャスティは苦笑いを浮かべている。

「わかった。少し休ませてもらう。」

「俺が親父に今日の事を説明してくる。キョーの事がばれたみたいで、城中
騒ぎになってんだ。そのせいで怒ってたからな。キョーの事もちゃんと部屋
に送っておくから。」


フリードライツが言うと、ジャスティは頷いた。


「ああ、頼む。ありがとう。」







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