Poetry of the help and past poetry
--- three ---

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翌朝。

一番にフリージアの様子を見に行った。
ラティスも様子を見に来ていたらしくベットの横に腰掛けていた。


「フリージア!もう起きて平気なの?」


桔梗の姿を見て起き上がったフリージアに慌てて声をかけるが、フリージア
はラティスの腕をかりて起き上がると笑顔をみせる。



「平気ですよ。たいした怪我じゃないのに、みんなが大騒ぎして大事になっ
 てしまっただけですから。」

「どこがたいした怪我じゃいって言うんだ。俺が見つけるのがもう少し遅か
 ったら・・・。」


ラティスは眉間に皺をよせて、呟く。


「平気だってば。貧血で倒れただけだもの。それより、キョー様。本当に申
 し訳ありませんでした。私がもっとしっかり守る事ができたら・・・。」

悔しげに顔を歪めて、フリージアが頭を下げて謝る。


「フリージアのせいじゃないわ!私が弱いばっかりに、あなたに負担をかけ
 てしまって・・・ジャスティにも。本当にごめんなさい。」

桔梗も頭を下げて謝罪する。


「そんな!キョー様が謝ることなんてないです!頭を上げてください。」

フリージアが慌てて桔梗を止めようとする。



そのせいでフリージアによけいな負担をかけそうで桔梗も謝罪をやめた。





「じゃぁお互い様ってことにしよう。私はもう謝らない。だからフリージア
 も私に謝らないでね。」

笑顔でフリージアに言うとフリージアも、それにラティスまでも笑顔を見せ
てくれた。



「助けてくれてありがとう。早く元気になってね。またお見舞いに来てもい
 いかな?」

「もちろんです!キョー様、来てくださってありがとうございます。ジャス
 ティ様にもよろしくお伝えくださいね。」

桔梗の行動などお見通しとばかりに、フリージアはウィンクをする。



やっぱり綺麗だなぁ・・・と思いながらも、桔梗は苦笑して頷いた。







「じゃぁ、行くね。ラティスもまたね。」


二人に手を振ってから、フリージアの部屋から出る。



扉を閉める直前に垣間見ることができた、二人の姿は恋人同士にようで絵に
なっていた。


二人には幸せになって欲しい。

自分には無理かもしれないから、せめて二人は本当に好きな人と・・・。













ジャスティの部屋の前に来ると、フリードライツが部屋から出てきた。

「おはよう。キョーは平気か?怪我はない様子だったけど・・・いろいろと
 キツかったんだろ?」

心配そうに聞くフリードライツに桔梗は笑顔を見せた。


「平気だよ。みんなが守ってくれたもん。それより、ジャスティは?」

「まだ寝てる。もうすぐ起きると思うから、キョーが見ててくれないか?俺
 はちょっと用事があってさ。起きたら人を呼んでくれればいいから。」

「わかった。」



何も出来ない自分でもジャスティが起きるのを見守っているくらいはできる。


「じゃぁ、頼むな。用事が済んだらまた来るから。」

フリードライツは桔梗の頭を軽く叩くと、早足で立ち去っていった。









フリードライツを見送ると桔梗は深呼吸をしてから、ドアをノックする。

予想通り返事はなく、そっと扉を開いて中を窺う。
部屋には眠っているジャスティ以外誰も居なかった。


「・・・おじゃまします。」


小声で呟いて部屋に入ると、音を立てないように静かに扉を閉めた。






ベットの横には椅子が置いてあったので、そこへ腰掛けるとジャスティの寝
顔を眺める。

ジャスティの寝顔を見るのは二回目で、あの時は桔梗がベットに横になり
ジャスティが椅子に座っていた。



あの時も思ったけれど、ジャスティの寝顔は幼く見えて結構可愛らしい。



穏やかな夢を見ているようで、ホッとした。
ジャスティには無理をたくさんさせてしまっている。



昨日自分を助けてくれた事もそうだが、忙しい中時間を作って会いに来てく
れたり、日本へ帰る方法を探してくれたり、会えないときもフリージア達を
介して様々な気配りをしてくれていることも知っている。



それに国王を含める桔梗の存在を知る人たちが桔梗に会いたがっているのを
桔梗に負担がかからないようにと抑えてくれているらしい。



そのことも昨日フリードライツから聞いて初めて知ったのだが、考えてみれ
ば桔梗に実感はなくともミロンの生まれ変わりらしい。

つまり国にとって重要人物になってしまうというのも理解できる。




そしてフェンリルの生まれ変わりは、ミロンの生まれ変わりを見つけること
ができる。




『ジャスティが貴女をみつけた。それがすべて』




つまり昨日のサルヴィアの言葉は、そのままこの国の人々の言葉でもある。

それがどんな人物なのか、神話を大切にしているこの国の人にとが気になら
ないわけがない。



今まで人目にさらされることなく過ごせたのはジャスティ達が桔梗を守って
くれていたからで、そしてジャスティが人前では素っ気なかったのも、その
事に関係していたらしい。





桔梗が知らないところでも、ずっと守っていてくれたのだ。


だから今度は守られるだけではなく、守ってあげたいと思う。


苦しんでいるのを救ってあげたいとも思っている。




もし桔梗がミロンの生まれ変わりであるならば・・・

フェンリルの生まれ変わりを助けてあげる事ができるはず。







ジャスティの髪にそっと触れると、暖かい感情が体の奥から溢れてくる。


その感情が何なのか桔梗にはわからない。







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